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お知らせとお詫び

5月も半ばを過ぎ、今年度の第一種放射線取扱主任者の試験日8月21日まで3ヶ月となりました。今年度、受験を予定している方の受験勉強は進んでいますでしょうか?

原子力安全技術センターのホームページには、受験申込みの案内が以下のとおり記載されています。既に申込みも始まっているようですね。

申込書配布期間  平成25年5月13日(月)~6月17日(月)
申込期間       平成25年5月17日(金)~6月17日(月)


受験申込書一式は、申込書領布機関の窓口で直接入手するか、原子力安全技術センター宛に郵送での送付を請求することにより入手できます。
受験される方は早めに受験申込書を入手し、受験手続をして下さい。

実際に受験申込みをすることで、勉強にも一層の気合が入ることと思います。




いつも私のブログをご覧いただいています皆様にお詫びですが、

大変申し訳ありませんが、明日21日から今月末まで都合により更新をすることができません。



6月に入ってからは、また皆さんの受験勉強のお役に立てる情報をできる限りアップしていきたいと思いますので、今後ともこのブログをご支援いただきますよう心よりお願い申し上げます。






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溶解度積

今日は溶解度積について書きたいと思います。

溶解度積

 難溶性の塩の飽和溶液における陽イオンと陰イオンの濃度積であり、イオンの沈殿条件を定めるのには重要な指標となります。
 濃度の積が溶解度積よりも大きいと、沈殿が生成します。




 ハロゲン化銀の代表的な沈殿AgClの25℃における水の溶解度積は、

 

です。
 Ag+の濃度が、

 

であるとき、Cl-の濃度は

 

以上で沈殿を生成するということになります。

すなわち、溶解度積が小さいものほど、沈殿が生成しやすいので沈殿による分離には向いているということになります。



平成18年度化学問22
平成19年度化学問22

放射性気体の発生

昨日は沈殿について記載しました。

今日は放射性気体の発生について書きたいと思います。

放射性気体の発生も化学の試験で毎年1問くらいは出題されている頻出分野ですので、是非重要な反応については暗記してください。

放射線気体が発生する化学反応式の一例は以下のとおりです。
これ以外にも数多くありますので、時間がある方は高校化学の参考書などをご覧下さい。

二酸化炭素(炭酸ガス)
 
 



二酸化硫黄(亜硫酸ガス 

 



硫化水素

 



塩酸

 



水素
水素化アルミニウムリチウムは還元剤であり、エタノールと反応して水素を発生します。

 



トロン
 ウラン鉱石に酸を加えるとトロン222Rnが発生します。
 

リン酸は気体を発生しないので、このことは覚えておくと良いかと思います。


平成17年度化学問20
平成18年度化学問21
平成19年度化学問18
平成20年度化学問22
平成22年度化学問12
平成23年度化学問22
平成24年度化学問24

沈殿

今日は化学の中で毎年1問は出題されている沈殿に関して書きたいと思います。

化学は苦手意識を持っている方が多い科目ですが、その理由としては以下のようなことが考えられるのではないでしょうか。

・範囲が広い
・覚えることが多い
・計算問題があり、さらにはめんどうな計算が多い


確かに化学で高得点を取ることは難しいかもしれませんが、基本的な問題や暗記することで解答できる問題を確実に点数にすることができれば6割は取れるかと思います。

第一種放射線取扱主任者試験では、物理、化学をしっかり勉強することが合格への近道ではないかと思います。


沈殿については以下のことを覚えて下さい。
覚えれば点数に繋がる確率が高い分野ですので、是非頑張ってください。

①ハロゲンで沈殿

 

AgClは白色、AgBr,AgIは黄色

ハロゲン化銀の沈殿はアンモニア水やチオ硫酸ナトリウムを吹き込むことで錯体を形成し溶解します。

 

 

②硫化物の沈殿
アルカリ性で沈殿するもの

  

NiS,CoSは黒色、MnSは肉紅色、ZnSは白色

酸性で沈殿するもの

 

HgS,CuS,Ag2S,PbSは全て黒色、CdSは黄色(橙色)

③硫酸塩の沈殿

 

全て白色

④リン酸塩の沈殿
中性溶液で沈殿するもの

 

全て白色

アルカリ性溶液で沈殿するもの

 

Ca3(PO4)2,Sr3(PO4)2,Ba3(PO4)2,FePO4は白色、Ag3PO4は黄色

⑤炭酸塩の沈殿

 

全て白色

⑥クロム酸塩の沈殿

 

Ag2CrO4は赤褐色、BaCrO4,PbCrO4は黄色

⑦その他の沈殿
硝酸銀は苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)で酸化銀の沈殿
 
 

Ag2Oは暗赤色

Fe3+はアルカリ性で水酸化鉄の沈殿(アンモニア水溶液 や苛性ソーダ)

 

水酸化アルミニウム

 

水酸化亜鉛

 

水酸化亜鉛は、過剰のNaOH,NH3で溶解します。

 

 



平成17年度化学問19,22
平成18年度化学問22
平成19年度化学問21
平成20年度化学問20,21
平成21年度化学問21
平成22年度化学問14,15
平成23年度化学問23
平成24年度化学問22,23


単位について ②

昨日に続き、単位について書きたいと思います。

昨日、吸収線量の単位は[Gy]=[J/kg]=[m2/s2]、また照射線量の単位は[C/kg]で表されることを書きました。

等価線量、実効線量
 吸収線量に放射線荷重係数を乗じたものが等価線量で、等価線量に組織荷重係数を乗じたものが実効線量です。単位はともにシーベルト[Sv]です。

 

カーマ
 任意の物質にX線やγ線あるいは中性子線などの間接電離放射線(非荷電性放射線)が入射して相互作用や核反応を起こしたとき、放出された荷電粒子の初期の運動エネルギーの総和であり、その物質の質量で除したもので制動放射線で逃げたエネルギーも含めます。単位はグレイ[Gy]です。

 

線減弱係数、エネルギー転移係数、エネルギー吸収係数

 

質量減弱係数、質量エネルギー転移係数、質量エネルギー吸収係数
 線減弱係数、エネルギー転移係数、線エネルギー吸収係数を密度で除したものです。

 

阻止能
 荷電粒子に用いられます。

 

線エネルギー付与(LET)は放射線の線質を表す指標で、放射線の飛跡に沿った単位長さあたりのエネルギー損失を表します。LETの単位も阻止能の単位と同じです。

質量阻止能
 阻止能を密度で除したものです。

 

飛程
 阻止能同様、荷電粒子に用いられます。

 

飛程の単位は[cm],[m]に密度を乗じた単位もあります。

 




単位や語句に関する過去問題

平成17年度物理問23,24
平成18年度物理問24
平成19年度物理問24
平成20年度物理問23,24
平成21年度物理問24,25
平成22年度物理問3,23,24
平成23年度物理問21,22,23
平成24年度物理問2,21,22


単位について ①

先日、線減弱係数、エネルギー転移係数、エネルギー吸収係数の単位について少し記載しました。また、昨日は阻止能、飛程の単位について記載しました。

放射線取扱主任者試験の物理では毎年およそ1問ほど単位に関する問題が出題されています。今日は是非覚えておきたい単位について書きたいと思います。

エネルギー
 ジュール[J]はエネルギー、仕事、熱量、電力量の単位です。
 仕事量やエネルギーに関する単位は基本は[J]がほとんどですが、変形する単位も重要です。

1[N]の力で1[m]動かしたときの仕事量の単位
 
 

1ボルトの電位差の中で1クーロンの電荷を動かすのに必要な仕事量の単位

 

1ワットの仕事率を1秒間行ったときの仕事量の単位

 

吸収線量
 任意の物資が任意の放射線により照射されたときの単位質量当たりに吸収されるエネルギーと定義されます
 
 

 
 1[Gy]=1[J/kg]で物質1kgに1Jにエネルギーが吸収されたことを表します。
 
 

照射線量
 空気X線やγ線で照射したときの電離電荷量と定義されます。
 「空気」にのみ適用される語句で、放射線も「X線」と「γ線」に限定されます。

 

吸収断面積

 

粒子フルエンス
 単位面積を通過する粒子数と定義されます。
 
 

放射能
 単位時間当たりの壊変数と定義されます。

  
 
 ラジウム1gは、   「ミナ テンテン」と覚えましょう。




ブラッグ・クレーマン則

昨日、阻止能飛程について記載しました。
復習ですが、

飛程の単位は[cm]と[g/cm2]がありますが、後者の[g/cm2]は[cm]に密度[g/cm3]を乗じたものであり、物質には依存しない値です。

阻止能の単位は[MeV/cm]と[Mev・cm2/g]がありますが、後者、すなわち阻止能[MeV/cm]を密度[g/cm3]で割った質量阻止能[Mev・cm2/g]も物質に依存しない値です。

電子の質量阻止能は物資に依存せず、およそ2Mev・cm2/gほどです。
(放射線概論P.469 )

この値は暗記しておいてもいいでしょう。

昨日、ブラッグ曲線について記載しました。
α線、陽子線などの重荷電粒子が飛程の最後の止まる付近で比電離(単位長さあたりの電離数)が最大になる現象です。

ブラッグさんの業績で放射線取扱主任者試験で是非覚えて欲しいものに、

1.ブラッグ曲線
2.ブラッグ・クレーマン則
3.ブラッグ・グレイの空洞原理


の3つがあります。

1.ブラッグ曲線は昨日記載したとおりです。
3.ブラッグ・グレイの空洞原理については、また後日書きたいと思います。

今日は飛程に関係する「2.ブラッグ・クレーマン則」について覚えていただきたいと思います。
 
ブラッグ・クレーマン則とは、
「重荷電粒子の飛程は物質の密度に反比例し、質量数の平方根に比例する」というものです。
(放射線概論P.102)


式で表すと、飛程R[cm]、密度ρ[g/cm3]、また質量数をAとして、

 

 ブラッグ・クレーマン則はある物質中での重荷電粒子の飛程が分かっているときに、他の物質中での飛程を計算するときに役に立ちます。



平成20年度物理問16
平成22年度物理問15



重荷電粒子と物質の相互作用

α線や陽子線などの重荷電粒子と物質の相互作用について書きたいと思います。

陽子線の質量は電子のおよそ1800倍です。

陽子の静止エネルギー
 
電子の静止エネルギー
 

よって、陽子は電子のおよそ938/0.511≒1800倍重くなります。(平成19年度物理問2)

また、同様に、
α粒子は電子の(2×938+2×940)/0.511≒7300倍重くなります。
(平成19年度物化生問1Ⅱ)(平成21年度物理問1)


参考:
 http://radioisotope1.blog.fc2.com/blog-entry-45.html


 α線、陽子線は電子に比べて質量が大きいので、物質中で方向を変えずエネルギーを失うまで直進します。
 
 飛程の最後のところで速度が小さくなり、阻止能(単位長さあたりに失うエネルギー)は速度の2乗に反比例するのでα線、陽子線などの重荷電粒子が止まる付近で阻止能が非常に大きくなります。

bragg.jpg

このグラフをブラッグ曲線といいます。
縦軸は比電離(単位長さあたりの電離数)を表し、飛程の最後に大きくなります。
ブラッグ曲線は陽子線やα線、重粒子線で示します。

X線、γ線、電子線、中性子線はブラッグ曲線は示しません。


α線、陽子線などの荷電粒子は、ごくまれな確率で原子核と衝突して大きな角度で曲げられることがあります(ラザフォード散乱

α線、陽子線の質量は上述したとおり電子に比べて大きいため、
電子との散乱による曲がり方は小さく放射損失(制動放射)は無視できます。そのため、エネルギー損失は電子との衝突損失(電離と励起)で決まります。

α線、陽子線などの荷電粒子は、β線に比べて進行速度が遅いため、クーロン力を受けやすく、透過力が小さくなります。


重荷電粒子の飛程及び阻止能を表す式は是非暗記しておいてください。

飛程 R
単位は[m],[cm]または密度を掛けて[kg/m2],[g/cm2]
飛程を[kg/m2],[g/cm2]で表した値は物質にあまり依存しません。



 

覚え方としては、E=1/2mv2を代入して

 

エネルギーが分かっているときはEを含む方を、速度が分かっているときはvを含む方を用います。


阻止能 S
単位は[MeV/cm],[MeV/m]または密度で割った質量阻止能[MeV・cm2/g],[MeV・m2/kg]
質量阻止能[[MeV・cm2/g],[MeV・m2/kg]で表した値は物質にあまり依存しません。



 

覚え方は、飛程と同様、E=1/2mv2からv2=2E/mを代入して

 

飛程と同様に、エネルギーが分かっているときはEを含む方を、速度が分かっているときはvを含む方を用います。



平成17年度物理問14
平成17年度物化生問3Ⅱ
平成18年度物理問13
平成18年度物化生問3
平成19年度物理問15
平成19年度物化生問1Ⅱ
平成20年度物理問15,16
平成21年度物理問16
平成22年度物理問15
平成22年度物化生問1Ⅰ
平成23年度物理問11,12,13,14
平成24年度物理問12


また、β線の飛程、α線の飛程に関する以下の式も重要ですので是非覚えてください。
単位の違いに注意してください。


β線のアルミニウム中での最大飛程[g/cm2]

 
 
 

遮へいを見積もる場合は、

 

α線の空気中での飛程[cm]

 

α線のエネルギーは4-8MeV程度なので、空気中での飛程は数cmとなります。

例えば、
α線のエネルギーが5Mevのとき、飛程は3.6cm
α線のエネルギーが6.3Mevのとき、飛程は5cm


 

β線と物質の相互作用

昨日まで光子について記載してきましたので、今日はβ線について是非覚えておきたいことを書きたいと思います。

β線と物質との相互作用として、

①原子核と衝突する弾性散乱
 ごくまれな確率で起こるラザフォード散乱です。
 β線では、原子核の得るエネルギーも無視されるくらい小さく、電子のエネルギー損失も無視できるほど小さいのであまり問題となることはありません。

ラザフォード散乱:原子核の電場によって曲げられる弾性散乱

②電子との衝突による非弾性散乱
 β線が物質中でエネルギーを失う主要な機構です。電離や励起によりエネルギーを失います。
 衝突阻止能です。

③制動放射線
 β線のエネルギーが減少する機構のひとつです。   
 放射阻止能です。

 制動放射とは、β線が原子の近くを通過すると原子核又は電子のクーロン力で曲げられて放射する現象です。
 物質の原子番号の2乗に比例し、入射粒子の質量の2乗に反比例します。
 
 電子での制動放射のみが問題となります。制動放射は入射粒子の質量の2乗に反比例するので、陽子線やα線の制動放射は問題にはなりません。
 
 電子は質量が小さいので、原子核の電場により制動を受けると大きな加速度による制動放射でエネルギーを失います。エネルギーの大きな電子ほど制動放射によるエネルギーの損失の割合は大きくなります。

 衝突阻止能に対する放射阻止能の割合の式は覚えておきたいです。(放射線概論P.92)
Scolを衝突阻止能、Sradを放射阻止能、Eを電子のエネルギー、Zを物質の原子番号として、

 

β線は電子線の一種であり、連続エネルギーです。
・連続エネルギーのβ線はその減衰は近似的に指数関数で表せます
・β線の最大飛程は最大エネルギーで決まる
β線の平均エネルギーは最大エネルギーのおよそ1/3です
(放射線概論P.48)



荷電粒子に関しては、阻止能や飛程が問題となります。
荷電粒子が単位長さあたりに失うエネルギー損失を阻止能といいます。

β線では、全阻止能S電子との衝突による阻止能(衝突阻止能)Scol原子核の電場によって強く曲げられて制動を受ける場合に制動放射を発生しエネルギーを失う放射阻止能Sradの和となります。

  


阻止能や飛程という言葉は荷電粒子にだけ使用される言葉です(覚えておいてください)
ちなみにW値(1対のイオン‐電子対を生成するために必要なエネルギー)も荷電粒子にのみ使用されます。

W値に関しては → http://radioisotope1.blog.fc2.com/blog-entry-30.html

阻止能や飛程については、放射線取扱主任者試験ではよく出題される重要事項ですので、また後日改めて書きたいと思います。


β線と物質の相互作用に関する物化生の過去問題を通して理解を深めてください。



平成18年度物化生問3,4Ⅱ
平成19年度物化生問1Ⅱ
平成20年度物化生問1Ⅱ
平成22年度物化生問1Ⅰ
平成23年度物化生問2Ⅱ


エネルギー転移係数、エネルギー吸収係数

昨日は、線減弱係数について記載しましたので、今日はエネルギー転移係数とエネルギー吸収係数について書きたいと思います。

エネルギー転移係数とエネルギー吸収係数については、放射線概論P.110の「8.4.2エネルギーの伝達」の初めに書かれている部分を是非覚えておいてください。


「光子が光電効果、コンプトン散乱、電子対生成などにより電子にエネルギーを与えると、電子は物質中で電離や励起を通して物質にエネルギーを与える。この電子が物質中を進むときに原子核などの電場などの制動を受けると制動放射を発生する。制動放射は物質外に放射されるので、物質に伝達されるエネルギーは電子に与えられたエネルギーの総和から制動放射で逃げる部分を引いたエネルギーとなる。」

エネルギー転移係数
 光電効果、コンプトン散乱、電子対生成などにより荷電粒子に与えられる(転移する)エネルギーの確率(割合)です。

入射光子のエネルギーをEγとすると、

光電効果によって転移するエネルギー(光電子に与えられるエネルギー)Eeは、

 

ここで、δは電子の束縛エネルギー、すなわち特性X線として放出されるエネルギーです。

コンプトン散乱によって転移するエネルギー(反跳電子に与えられるエネルギー)Eeは、
 

電子対生成によって転移するエネルギー(電子と陽電子のエネルギー和)Ee

 

電子対生成は入射光子のエネルギーが電子の静止エネルギーの2倍(1.022[MeV]以上)が必要です。



光電効果、コンプトン散乱、電子対生成により電子に与えられる(転移する)総エネルギーEは、
これらの和より、

 


エネルギー転移係数μTRは、単位体積中の原子数をNとすると、

 

線減弱係数と同様、エネルギー転移係数を密度で割ったものを質量エネルギー転移係数と言います。

 

エネルギー吸収係数は、このエネルギー転移係数から制動放射で逃げる割合Gを差し引いたものとなるので、
 
 

エネルギー吸収係数を密度で割ったものを質量エネルギー吸収係数です。

 

エネルギー転移係数、エネルギー吸収係数の単位は線減弱係数と同じで[m-1]や[cm-1]です。
質量エネルギー転移係数、質量エネルギー吸収係数の単位も質量線減弱係数と同じで[m2/kg]や[cm2/kg]です。


これらの単位は、放射線取扱主任者試験でよく出題されていますので是非覚えておいて下さい。

また、線減弱係数>エネルギー転移係数>エネルギー吸収係数 の順となることも是非覚えておいて下さい。

 

光子のエネルギーが1MeVくらいまでに小さいエネルギー領域では、制動放射で逃げるエネルギーは非常に小さいので、G≒0と考えられるので、μen=μTRとなります。

 

線減弱係数と半価層、1/10価層

光子と物質の相互作用でを考える場合、線減弱係数、エネルギー転移係数、エネルギー吸収係数が問題になります。

今日は線減弱係数について少し書きたいと思います。


線減弱係数

 光子(γ線、X線)が物質を通過すると、光電吸収、コンプトン散乱、電子対生成などの物質との相互作用により減弱されます。その減弱の割合が線減弱係数として定義されます。 
 入射光子の数をI0 とし、それが物質の厚さxの物質を通過すると、通過後の光子数Iは、

 

 このμを線減弱係数といいます。単位は[m-1]や[cm-1]で表されます。

 この線減弱係数μを密度で割ったものを、質量減弱係数μmとなります。

 

 この質量減弱係数μmの単位は、

    または、 

線減弱係数μを密度で割った質量減弱係数μmは物質にあまり依存しない値です。
 
光子の物質中での減弱を表す以下の式で、

 

I=I0/2となる厚さx1/2を半価層といい、以下のように求められます。

 

両辺の自然対数lnを取って、

 

  

 

また、I=I0/10となる厚さx1/10を1/10価層といい、半価層と同様に求めると、

 


 線減弱係数の単位、半価層、1/10価層の式は是非とも覚えておいてください。



線減弱係数、質量減弱係数に関する過去問題

平成17年度物理問19
平成18年度物理問18,24
平成19年度物理問21
平成19年度物化生問1Ⅰ
平成20年度物理問21
平成20年度物化生問2Ⅱ
平成21年度物理問19,21,24,25
平成21年度物化生問2Ⅰ
平成22年度物理問18,21
平成23年度物化生問1Ⅱ,Ⅲ
平成24年度物理問22




光子と物質の相互作用 まとめ

3日間にわたり光子と物質の相互作用について記載してきました。

今日はまとめとして、是非これだけは覚えておきたいことについて書きたいと思います。


①レイリー散乱

・光子の弾性散乱
・確率(断面積)は物質の原子番号の2乗に比例


②光電効果

・光子のエネルギー全てを軌道電子に与え、軌道電子を放出する現象
・非弾性散乱
・光子の粒子性を表す現象
・光子エネルギーが軌道電子の結合エネルギーよりも少し大きいときに起こりやすくなる
・光電子(放出された軌道電子)のエネルギーEe
 
・光電子は線スペクトル
・特性X線あるいはオージェ電子が放出
・外殻電子よりも内殻電子で起りやすくなる
・その確率(断面積τ)は、物質の原子番号の5乗に比例し、エネルギーの-3.5乗に比例
 
・エネルギーの小さい光子が原子番号の大きな物質に入射したときに寄与が大きくなる


③コンプトン散乱

・光子が軌道電子を放出する現象
・エネルギー的には保存されるので光子と物質との弾性散乱と考えることができる
・放出される電子がエネルギーをもつため、散乱される光子の波長は入射光子の波長から
 変化するため、この場合は非弾性散乱と考えることができる
・入射光子と散乱光子の波長の差は、
 
・光子の粒子性を表す現象
・散乱後の光子のエネルギーは放出された電子のエネルギーEだけ小さくなる(波長λが長
 くなる)
・確率(断面積)は、物質の原子番号に比例
・コンプトン電子は後方に反跳されることはない
・散乱光子は入射光子のエネルギーによっては後方に散乱されることもある
・コンプトン散乱後の散乱光子のエネルギーE'γ
 
・コンプトン電子のエネルギーEe
 
・電子のコンプトン波長は光子が90°散乱される場合の光子の波長の変化に等しい
 
                       
                   
④電子対生成

・光子が物質の原子核の電場により電子と陽電子を生成する反応
・入射光子エネルギーが生成する電子及び陽電子の静止エネルギーの和1.022[MeV]以
 上で起こる
・生成した陽電子は、電子と結合した位置で0.511MeVの2本のγ線(消滅γ線、消滅放射
 線)を反対方向に放出して消滅
・電子と陽電子のエネルギーは0からE-1.022[MeV]までの範囲の連続スペクトル
・確率(断面積)は、物質の原子番号の2乗に比例
・光子のエネルギーが大きくなる程起りやすくなる


⑤光核反応

・光子のエネルギーがかなり大きいときに起る反応
・光子が原子核に吸収され中性子を放出する反応





官報公告 平成25年度放射性取扱主任者試験の施行

本日付の官報に今年度の放射性取扱主任者試験の施行について発表がありました。

〔官庁報告〕
 国家試験
 平成二十五年度放射線取扱主任者試験の施行について(原子力規制委員会)・・・・9
  → http://kanpou.npb.go.jp/20130509/20130509h06041/20130509.html

 
 原子力安全技術センターのHPにも詳細が掲載されていますのでご覧下さい。
  → http://www.nustec.or.jp/syunin/syunin01.html 

 

 第1種放射線取扱主任者試験

 平成25年8月21日(水)物化生、物理学、化学
 平成25年8月22日(木)管理測定技術、生物学、法令


 第2種放射線取扱主任者試験

 平成25年8月23日(金)管理技術Ⅰ、管理技術Ⅱ、法令


 会 場 
  札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、福岡





光子と物質の相互作用 ④電子対生成、⑤光核反応

今日も、昨日、一昨日に続き、光子と物質の相互作用について書いています。

①レイリー散乱
②光電効果
③コンプトン散乱
④電子対生成
⑤光核反応


今日は④電子対生成と⑤光核反応について書きたいと思います。


④電子対生成

電子対生成

 光子が物質の原子核の電場により電子と陽電子を生成する反応です。
 
 光子エネルギーが生成する電子及び陽電子の静止エネルギーの和

 
 
以上のときに起こります。
 
 生成した陽電子は、電子と結合した位置で0.511MeVの2本のγ線(消滅γ線、消滅光子という)を反対方向に放出して消滅します。
 よって、電子対生成が起こった位置で消滅放射線が放出されることはありません。

 入射される光子エネルギーをEとした場合、放出される電子と陽電子のエネルギーの和は、

 
 
となります。

 電子と陽電子のエネルギーはそれぞれ0からE-1.022[MeV]までの範囲の連続スペクトルです。
 また、電子と陽電子が正反対の方向に放出されることはありません(正反対方向に放出されるのは消滅γ線です!)

 電子対生成の断面積は、物質の原子番号の2乗に比例し、光子のエネルギーが大きくなる程起りやすくなります。



電子対生成に関する過去問題

平成17年度物理問17,19
平成18年度物理問17,20
平成19年度物理問13,16
平成20年度物化生問2Ⅱ
平成21年度物化生問2Ⅰ
平成22年度物理問18
平成22年度物化生問2Ⅲ
平成23年度物理問5,18
平成23年度物化生問1Ⅰ,Ⅲ
平成24年度物理問7,17,18




⑤光核反応
 光子のエネルギーがかなり大きいときに起る反応で、光子が原子核に吸収され中性子を放出する反応です。

光核反応に関する過去問題

平成21年度物理問23
平成21年度物化生問2Ⅰ


光子と物質の相互作用 ③コンプトン散乱

昨日から、光子と物質の相互作用について書いています。

①レイリー散乱
②光電効果
③コンプトン散乱
④電子対生成
⑤光核反応


これらの光子と物質の相互作用において、放射線取扱主任者試験で取りあげられる頻度が高いものは、②光電効果、③コンプトン散乱、④電子対生成ではないでしょうか。

昨日は②の光電効果について書きましたので、今日は③コンプトン散乱について書きたいと思います。


③コンプトン散乱

コンプトン散乱

コンプトン散乱に関する過去の問題

平成17年度物理問17
平成17年度物化生問4
平成18年度物理問17,18,19,20
平成19年度物理問12,18,20
平成20年度物理問18,19,21
平成20年度物化生問2Ⅱ,Ⅲ
平成21年度物理問20
平成21年度物化生問1Ⅱ,2Ⅰ
平成22年度物理問18,19
平成22年度物化生問2Ⅱ
平成23年度物理問16,18
平成23年度物化生問1Ⅰ,Ⅲ
平成24年度物理問15,16,18

 コンプトン散乱は、エネルギー的には保存されていますので光子と物質との弾性散乱と考えられることができ、光子が軌道電子を放出する現象です。
 コンプトン散乱においては、入射光子が電子との衝突において粒子として振舞っています。
 
 散乱後の光子のエネルギーは放出された電子のエネルギーEだけ小さくなるため、波長λが長くなります。(振動数は小さくなります)
 エネルギーは以下の式で表せますので、波長が長くなると振動数が小さくなることが分かります。

 

 
コンプトン散乱の確率(断面積)は、物質の原子番号に比例します。
入射光子のエネルギーは散乱光子とコンプトン電子に分配され、入射光子の全エネルギーがコンプトン電子に与えられることはありません。また、図から明らかなように、コンプトン電子は図から後方に反跳されることはありあません。(0<φ<90)
散乱光子は入射光子のエネルギーによっては後方に散乱されることもありますが、入射光子のエネルギーが大きくなると前方に散乱されやすくなります。

コンプトン散乱に関しては、是非覚えたい重要な式を先日記載しました。
 → http://radioisotope1.blog.fc2.com/blog-entry-81.html

復習をかねてもう一度記載します。

・コンプトン散乱後の散乱光子のエネルギーE'γ

 

よって、コンプトン電子のエネルギーEeは、

 

・散乱光子の波長λと入射光子の波長λ0の差
 

これらの式は、下図から運動量保存則とエネルギー保存則から導かれます。

コンプトン散乱2

コンプトン電子の運動量をp、エネルギーをEとしたときに、

運動量保存則において、x方向に式を立てると、
 
 

運動量保存則において、y方向に式を立てると、

 

エネルギー保存則から

 

これらの式を解くことで、上述した重要式を導くことができます。

放射線取扱主任者試験では、導ける必要はありませんので、運動量保存則とエネルギー保存則から導けると言うことと重要式を暗記しておければ良いかと思います。

平成22年度の物化生問2Ⅱにおいてこれらの式に関する問題が出題されています。


コンプトン散乱に関する問題に関わらず、試験では主要な角度のコサイン(cos)の値を覚えておく必要があります。
以下のコサインの値は暗記しておいてください。

 

 

  

 

 



光子と物質の相互作用 ①レイリー散乱、②光電効果

光子と物質の相互作用には光子のもつエネルギーの低い順に以下の5つがあります。

①レイリー散乱
②光電効果
③コンプトン散乱
④電子対生成
⑤光核反応


今日は、①レイリー散乱と②光電効果について書きたいと思います。


①レイリー散乱
 低エネルギーの光子が軌道電子と衝突する際の反跳を原子全体で受け止めるため散乱による光子エネルギーは変化しません。
 原子の質量が光子の質量よりもはるかに重いので光子のエネルギーは変化せずに方向だけが変わる現象であり、光子の弾性散乱といえます。
 
 その確率(断面積)は物質の原子番号の2乗に比例します。

平成17年度物理問17
平成18年度物理問17




②光電効果
 光子のエネルギー全てを軌道電子に与え、軌道電子を放出する現象で非弾性散乱であり、光子の粒子性を表す現象です。

光電効果

 光子エネルギーが軌道電子の結合エネルギーよりも少し大きいときに起こりやすくなります。

 放出した電子を光電子といい、
 光電子のエネルギーEeは、光子エネルギーをEγ、軌道電子の結合エネルギーをEBとすると、

  

 と表せます。

 光電効果により放出される光電子は軌道のエネルギー準位に基づいているため線スペクトルとなります。

 放出した軌道電子の空席には上位軌道から電子が遷移してくるため、特性X線あるいはオージェ電子が放出されます。

 光電効果は外殻電子よりも内殻電子で起りやすく、その確率(断面積τ)は、物質の原子番号の5乗に比例し、エネルギーの-3.5乗に比例します。 

 

 すなわち、光電効果はエネルギーの小さい光子が原子番号の大きな物質に入射したときに寄与が大きくなります。



平成17年度物理問7,17,18
平成17年度物化生問4
平成18年度物理問3,17,20
平成19年度物理問12,19
平成20年度物理問4,19,20
平成20年度物化生問2Ⅱ,Ⅲ
平成21年度物理問18
平成21年度物化生問2Ⅰ
平成22年度物理問6,21
平成22年度物化生問2Ⅰ
平成23年度物理問4,17,18,
平成23年度物化生問1Ⅰ,Ⅲ
平成24年度物理問7,15,18



純度に関して

放射性取扱主任者試験では、純度に関しての問題がよく出題されています。

着目する核種で標識された化合物に、不純物として異なる核種で標識された化合物や、着目する核種ではあるが異なる化学形の化合物が存在するときなどの核種の純度を求める問題があります。

過去の問題では、

平成17年度化学問16
平成19年度化学問23

です。

また、製品中の核種の純度と半減期が分かり、またそれに含まれる不純物の割合と半減期も分かっている場合の、検定日から数日後の製品の核種純度を求める問題もあります。

過去の問題では、

平成18年度化学問28
平成20年度化学問23
平成23年度化学問4

です。



さて、純度には、

①放射化学的純度
 全放射能に対する指定の化学形で存在する着目放射性核種の放射能

②放射性核種純度
 全放射能に対する化学形とは関係なく存在する着目する放射性核種の放射能


があります。

例えば、 の水溶液において、

  

 

 他の化学形の 

とすると、32Pにおいて

①の放射化学的純度は、

 

②の放射性核種純度は、
 
 

となります。

平成17年度化学問16 、平成19年度化学問23はこれにあたります。


平成18年度化学問28、平成20年度化学問23、平成23年度化学問4では、検定日から数日経った後の核種の純度を求める問題であるため、指数の計算が重要となります。



以下の公式は使えるようにして下さい。

 

 


放射化分析の重要式

中性子に関する重要事項として、放射化分析について今日は書きたいと思います。
放射線概論ではP.195からの「7.放射化分析」の章になります。

放射化分析では、分析しようとする試料(ターゲット元素)に主に中性子を照射して核反応を起こさせ、生成する放射性核種からの特性として半減期や放射線の種類、エネルギー、放射能の強さを測定する分析方法です。

是非覚えたい公式として、

 

ここで、
 A:照射終了直後の生成核種の放射能[Bq]
 f:照射粒子束密度[n/(cm2・s)]
 σ:放射化断面積[cm2] (1barn=10^-24cm2]
 N:試料(ターゲット元素)の原子数
 T:生成核種の半減期[s]
 t:照射時間[s]

Sを飽和係数といい、以下の式で与えられます。
 
 

飽和係数Sと照射時間の関係を図に表すと以下のようになります。

 放射化分析

照射時間tが生成核種の半減期Tよりも十分に小さいとき、飽和係数Sは上図のt=0における接線に近似することができます。
よって、その傾きは飽和係数Sを時間tで微分して、

 

t=0を代入して傾きを求めると、

 

よって、照射時間tが生成核種の半減期Tよりも十分に小さいとき、飽和係数Sは原点を通る傾きλの直線として近似できる。 

   

よって照射時間tが生成核種の半減期Tよりも十分に小さいとき、照射終了直後の生成核種の放射能は、 

 

直線となる。

また、照射時間tが生成核種の半減期Tよりも十分に大きいとき、飽和係数Sは上図から一定の値に近づくことが予想されるが、それ数学的に示すと、

 

となるので、

 
 
となり照射終了直後の生成核種の放射能は一定値fσNになる。

もうひとつの式で考えても同じですね。 

   


放射線取扱主任者試験では照射時間tと照射終了後の生成核種の放射能の関係を問う問題がよくあります。

 

この式で、照射時間tが半減期Tと同じとき、照射終了後の生成核種の放射能は、

 

照射時間tが半減期Tの2倍と同じとき、照射終了後の生成核種の放射能は、

 

照射時間tが半減期Tの4倍と同じとき、照射終了後の生成核種の放射能は、

 

と次第にfσNに近づいていく。



放射化分析に関する過去問題

平成17年度化学問15
平成18年度化学問11
平成19年度化学問10
平成20年度化学問13
平成20年度物化生問4Ⅰ
平成21年度化学問15
平成21年度物化生問3Ⅰ,問4Ⅰ,Ⅱ
平成22年度物化生問4Ⅰ,Ⅱ
平成24年度化学問10,11

参考までに、放射化分析における照射終了直後の生成核種の放射能を表す式は、永続平衡時に娘核種の放射能が親核種の放射能に近づく式と同じです。
 → http://radioisotope1.blog.fc2.com/blog-entry-24.html


以下の3つの式は必ず覚えて使えるようにしてください。

①放射化分析の基本式
 

②照射時間tが生成核種の半減期Tよりも十分に小さいときの照射終了直後の生成核種の放射能を表す式
 

③照射時間tが生成核種の半減期Tよりも十分に大きいときの照射終了直後の生成核種の放射能を表す式
 


中性子の反応

昨日、中性子の弾性散乱における原子核の反跳エネルギーについて書きました。
復習ですが、以下の式になります。

 

中性子と衝突した原子核の最大エネルギーは、イメージ的にも分かるかと思いますが正面衝突です。
ビリヤードで玉と玉が正面衝突することをイメージしてもらえれば分かりやすいでしょうか。

φ=180°のときになり、上式のφに180°を代入するとcos180°=-1より、以下の式で表されることは昨日も書きました。

 

これは中性子と原子核との弾性散乱になります。

弾性散乱とは、
原子・陽子・中性子・電子・光子など粒子同士の衝突において、衝突前後で粒子の数や種類が変わらず、運動エネルギーの和が保存される場合をいいます。


これに対して、
原子・陽子・中性子・電子・光子など粒子同士の衝突で、衝突前後で粒子が励起して運動エネルギーの一部を失ったり、数や種類が変わったりする場合を非弾性散乱といいます。

弾性散乱としては、上記の中性子と原子核の衝突などがあります。

非弾性散乱としては、光電効果などがあります。

注:
コンプトン散乱に関しては、衝突の前後で放出される電子がエネルギーをもつため、散乱される光子の波長は入射光子の波長から変化していますので、この場合は非弾性散乱と考えられます。しかし、コンプトン散乱では、エネルギー的には保存されていますので、こういう見方をすれば弾性散乱であるとも言えるかと思います。

昨日も書きましたが、入射光子と散乱光子の波長の差は以下の式で表されます。

 

さて、本日の話ですが、

中性子と原子核との相互作用、すなわち核反応には、以下のものがある。

①弾性散乱(n,n)
②非弾性散乱(n,n')
③捕獲 (吸収反応) (n,γ)
④核分裂(n,f)


平成22年度物理問22
平成17年度物理問22

速中性子(エネルギーが0.1MeVよりも大きい) → ①弾性散乱、②非弾性散乱

・速中性子は水素との反応で最も減速されやすい
(昨日書きました水素原子核中の陽子との弾性散乱です)
・中性子は原子核に捕獲されずに、跳ね返るような反応を起こす。


熱中性子(エネルギーが0.025eVよりも小さい) → ③中性子捕獲(n,γ)

・質量数が1増加し、エネルギーの高い励起状態の原子核生成(γ線、α線放出)
・大きな断面積のため中性子の遮へい財、検出器に利用
 
 熱中性子遮へい材 
 
  

  断面積3800b

 熱中性子検出器(放射線概論P.407-408)

平成19年度物理問22
平成22年度物理問28

 BF3ガスを用いる比例計数管Heガスを用いる比例計数管は熱中性子の検出器として使用されます。 
 
 BF3比例計数管  断面積3800b
  
 3He比例計数管 
 
 10Bの熱中性子に対する反応断面積は3800バーンとかなり大きい。
 またの6Liの熱中性子に対する反応断面積も940バーンと大きく、6LiFを利用する個人線量計である熱蛍光線量計(TLD)も熱中性子の測定に使用されます。(放射線概論P.398)

 

 6LiI(Eu)シンチレーター           
 核分裂比例計数管 

 235Uは、熱中性子により核分裂するため中性子の検出に利用できます。
 235U(n, f)では質量数が90~100と130~140の元素が生成されやすくなります
 (放射線概論P70参照)
  → http://radioisotope1.blog.fc2.com/blog-entry-61.html

平成21年度物理問14

197Au,115In,165Dyは熱中性子に対して大きな断面積を有するため中性子捕獲反応(n,γ)反応を起こし熱中性子の検出に使用することができます。
(放射線概論P.407)
中性子捕獲反応(n,γ)は発熱反応です。

 金箔放射化検出器 

 , , 


その他、
 中性子捕獲治療 
 ホウ素中性子捕捉治療 BNCT 

 速中性子検出器
 プラスチックシンチレータや液体シンチレータなど水素を多く含むものと高速中性子の反
 応
を利用します。
 高速中性子は水素原子核内の陽子と弾性衝突するため高速中性子を遮へいできます。
 
 液体シンチレーション、水素充填比例計数管、PEラジエータ付Si半導体検出器
 
 しきいエネルギーをもった放射化反応(放射線概論P.407)
 32S、27Al、64Znなどのしきいエネルギーを持った放射化反応は高速中性子の検出
 利用可能である。
 しきいエネルギーをもった放射化反応は吸熱反応です。

  
 →中性子被爆の放射化反応 髪の毛のSがPになることも覚えておきましょう
 (管理測定技術平成21年度問6のⅡ)

 

 



平成17年度物理問20

公式に用いられるcos(コサイン)

昨日まで、放射線取扱主任者試験で知っておきたい数学の知識として対数と指数に関して書きました。
今日は三角関数について書きたいと思います。

放射線取扱主任者試験で出題される三角関数は、ほとんどcos(コサイン)に関するものだと思います。



①チェレンコフ放射(放射線概論P.94-95,99)

チェレンコフ放射は、荷電粒子が物質中を運動する時、荷電粒子の速度がその物質中の光速度(c/n)よりも速い場合に光が出る現象です。
cは光速、nはその物質の屈折率です。
このとき出る光をチェレンコフ光といいます。
水中ではn>1となるためチェレンコフ光が起こることがありますが、空気中では起こりません。
水中では電子が通過する際には。0.26MeV以上のエネルギーで起こりえます。

チェレンコフ光の例としては、原子力発電所の燃料が入ったプールの中で見える青白い光があります。

荷電粒子が進行する方向に対してθ方向にチェレンコフ光を観測することができます。

チェレンコフ光

   

 

チェレンコフ光に関する過去問題

平成18年度物理問14
平成19年度物理問14
平成20年度物化生問Ⅱ3
平成24年度物理問13,14


②GM計数管などによるβ線源の放射能測定の際の幾何学的効率G
(放射線概論P.346)

幾何学的効率

上図のような測定の場合、計数管の線源に対する幾何学的効率Gは、

 
 
③コンプトン散乱

コンプトン散乱

コンプトン散乱2

光子と物質との弾性散乱であり、光子が軌道電子を放出する現象です。

散乱後の光子のエネルギーは放出された電子のエネルギーEだけ小さくなるため、波長λが長くなります。(振動数は小さくなります) 
コンプトン散乱の確率(断面積)は、物質の原子番号に比例します。
入射光子のエネルギーは散乱光子とコンプトン電子に分配され、入射光子の全エネルギーがコンプトン電子に与えられることはありません。また、図から明らかなように、コンプトン電子は図から後方に反跳されることはありあません。(0<φ<90)
散乱光子は入射光子のエネルギーによっては後方に散乱されることもありますが、入射光子のエネルギーが大きくなると前方に散乱されやすくなります。

コンプトン散乱で覚えたい式は、

・コンプトン散乱後の散乱光子のエネルギーE'γ

 

よって、コンプトン電子のエネルギーEeは、

 

・散乱光子の波長λと入射光子の波長λ0の差

  

コンプトン散乱は光子と物質の相互作用で非常に出題頻度の高い重要分野ですので、また後日「光子と物質の相互作用」として、光電効果電子対生成と一緒に解説したいと思います。

ちなみに、コンプトン散乱に関する過去の問題は非常に多く、

平成17年度物理問17
平成18年度物理問17,18,19,20
平成19年度物理問12,18,20
平成20年度物理問18,19,21
平成21年度物理問20
平成22年度物理問18,19
平成22年度物化生問2Ⅱ
平成23年度物理問16,18
平成22年度物化生問1Ⅲ
平成24年度物理問15,16,18

などがあります。

④中性子と原子核の弾性散乱(放射線概論P.122)

中性子と原子核が弾性散乱する場合の反跳エネルギーは、
E:反跳エネルギー、m:中性子の質量、M:原子核の質量、En:中性子のエネルギー、φ:重心系での中性子の散乱角 として、

  

反跳エネルギーEの最大値は、散乱角φが180°、すなわち中性子と原子核が正面衝突で中性子が180°後方に跳ね返る場合になります。
そのときの反跳エネルギーEは、

 

となります。

中性子の質量mは1なので、M=1、すなわち陽子(水素原子の原子核)との衝突ではE=Enとなり、中性子が最初にもっていたエネルギーは全て原子核に与えられ中性子は止まることになります。
そのため、中性子の遮へいは水素を多く有するポリエチレンなどや水が使用されるのです。

反跳エネルギーは同質量同士の正面衝突のとき最大となります。

例:中性子と水素α粒子と4He



平成18年度物理問23
平成18年度物化生問3
平成20年度物理問22
平成21年度物化生問2Ⅱ
平成22年度物化生問1Ⅱ
平成23年度物理問10,19




試験に必要な数学 3

昨日、一昨日と試験で知っておきたい数学の知識について書いています。
今日も少しその続きについて書きたいと思います。

一昨日、放射能は経過時間とともに指数関数的に減少し、その減少は以下の式で表せることを書きました。

 

ここで、半減期Tはある時点での放射能がその放射能の1/2になるのまでに要する時間になることも一昨日書きました。

今日は少し難しくなるかもしれませんが、
この「放射能の経時変化を表すグラフにおいて面積を求める計算方法」について書きたいと思います。

「面積をなぜ求める必要があるのか?」と思うかもしれませんが、
縦軸を放射能[Bq]とした場合、面積は経過した時間内全てにおいて寄与した放射能に相当し、また縦軸をカウント[cpm]とした場合には、面積は経過した時間内全てにおいてかカウントされた放射線の計数に相当します。

過去の放射線主任者試験では、

平成18年度化学問4
平成19年度化学問11
平成24年度化学問1

などではこの面積を求める計算が必要となります。

では、実際にどうやって計算するかを書きたいと思います。
難しくなってしまうかもしれませんが、積分を使用します。

例えば、下図の赤斜線の部分の面積を求めてみましょう。

半減期図2


上述しました「放射能の経過時間を表す指数関数」を時間を表すx軸で0から半減期のTまでの間を積分します。
面積Sは

 

ここで、私個人的には、積分は指数関数の場合1/2よりも自然対数の底であるeの方が計算しやすいと思っています。
そこで、一昨日も書きましたが、「放射能の経過時間を表す式」は以下の式として表すこともできます。

  

ここで、壊変定数λは一昨日も計算しましたとおり、

 

より、

 

と表せます。

よって、

 

これを計算しましょう。

 

ここで、以下の公式を利用して、

 

 


 

よって、

 

      

ここで、e^{ln(1/2)}がなぜ1/2になるかというと対数を取ると分かります。

 

とすると、両辺の自然対数を取ると

 

 

よって、

 

すなわち、
 
 

元々、xは 

 

なので、

 



今日は少し難しかったかもしれませんが、過去の問題

平成18年度化学問4
平成19年度化学問11
平成24年度化学問1

を解く際に参考にしてみてください。


 
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