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試験に必要な数学 2

昨日、放射線を学ぶ上で必要な数学の知識として対数について記述しました。

放射線取扱主任者試験において対数を用いる計算の例として、

・放射平衡に関する分野で、原子数が最大になる時間(放射線概論P.137)
 → http://radioisotope1.blog.fc2.com/blog-entry-26.html

平成21年度化学問12

 

・半価層、1/10価層(μ:線減弱係数)

 

  
 
半価層、1/10価層については、また後日書きたいと思います。


また、放射線取扱主任者試験では指数の計算も必要になってきます。

例えば、放射線核種の核種純度の計算などでは指数の計算が必要となります。

平成18年度化学問28
平成20年度化学問23

核種純度に関しても、後日書きたいと思います。



指数の計算で覚えたい公式は、

 

 
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試験に必要な数学

今日は、放射線取扱主任者試験で知っておいた方がよい数学の知識に関して少し書きたいと思います。

第一種放射線主任者試験で必要な数学で一番知っておいた方がよいものは、指数、対数に関する知識ではないでしょうか。

放射線を扱う分野では、核種の半減期については避けては通れないことです。

半減期とは、物質の量が半分になる時間のことで、
放射性核種に関して言えば、放射線を出す能力(放射能)が元の半分になるまでの期間のことを言います。

半減期を表す図は以下のようになります。

半減期図

放射能が経過時間とともに指数関数的に減少していることが分かります。
式で表すと、
t=0の放射能をA0、半減期をTとして

  

となります。
t=TでA0がAの2分の1になっていますね。

この式は、壊変定数λを用いて以下の式のように表されるときもあります。

 

このeはネイピア数と呼ばれています(覚える必要はありません)
ただ、このeは自然対数の低として用いられることは知っておいた方がいいでしょう。

上2式は等しいので、
 
 

両辺の対数をとると
(底がeの対数、すなわち自然対数はlnで表し、底が10の対数、常用対数はlogで表す)

 

  

よって、壊変定数λを
 
 

と導けます。

今日覚えておきたい数学は、対数の取り扱いです。
aのx乗の対数をとると、定数のxが前に降りてきて、xとaの対数との積と同じになります。
これは、上述した自然対数(ln)でも常用対数(log)でも同じです。

 

対数を言葉で説明すると、以下の式のようになります。

「eのx乗がaである場合に、このxがln a」
 

「10のx乗がaである場合に、このxがlog a」
  

「2のx乗がaである場合に、このxがlog(2) a」
 

たとえば、

 
 

 
 



その他、対数で覚えておきたい公式は、
 
 
 


標識化合物 2

昨日から標識化合物について記載しています。
今日は標識化合物の合成法に関して書きたいと思います。

標識化合物の合成法はいくつかあり、それぞれ特徴があります。

①化学的合成法
無機標識化合物を出発物質として標識有機化合物を合成する方法

・比放射能が高い
・標識位置が明確
・複雑な化合物の標識は手間と時間がかかる

②生合成法
:複雑な生体構成物質の標識に利用
  
・化学的合成法では難しいホルモン、アルカロイド、たんぱく質の合成が可能
・標識が均一(U-)
・光学活性体が得られる
・標識位置、比放射能、収率の制御が難しい

③同位体交換法
:AX+BX*→AX*+BX により標識する
   
・逆反応も起こるので標識が外れないようにする
・比放射能は低い

④反跳合成法
:核反応によって生成する大きな反跳エネルギーをもつホットアトムを利用して標識する方法

・複雑な化合物が簡単に標識できる
・短寿命の放射性核種の標識ができる
・比放射能の高いものが得られる
・放射化学収率が低い
・標識位置が一定しない
・化学反応性に富む反跳原子のため、副反応生成物に伴い分離が困難
・Li2CO3や3Heと中性子との核反応を利用することで、有機化合物をトリチウム(3H)で標識することができます。 
 これは、以下の核反応を利用しています。

 

 

⑤ウイルツバッハ法
:トリチウムガス と有機化合物を同容器中で放置して標識

・非常に簡単ではあるが、標識位置が一定しない
・有機化合物の標識のみにしか適用できない

⑥タンパク質の放射性ヨウ素による標識
:125Iを用いたNa125IやK125Iを使用する。
 
タンパク質のチロシンのフェノール性水酸基のオルト位の水素を置換する。また、ヒスチジンの水素とも置換可能であるが反応速度が遅いためチロシンが優先

⑦アミノ酸の標識誘導体の合成
:35Sや131Iを用いた[35S]塩化p-ヨードフェニルスルホニルが使用される。


まとめ
 比放射能が大きい標識法:化学的合成法、反跳合成法
 標識位置が明確な標識法:化学的合成法
 複雑な化合物向きの標識法:生合成法、反跳合成法



トリチウム3Hで標識した化合物は、炭素14Cで標識した化合物よりも比放射能が高い  
 

標識化合物

先日、トレーサーについて書きました。 

トレーサーとは、ある現象や過程で、対象とする物質の挙動を追跡する目的で加える物質をいいます。トレーサーは追跡しようとする対象物質とまったく同じ挙動をすること、また追跡の過程で検出が容易であることが必要です。このため放射性同位体が利用されることが多く、放射性トレーサーといわれています。

トレーサーを使用するためには、放射性同位元素で置き換わった化合物の合成が必要となります。ある化合物中の決まった位置の原子がその放射性同位体で一部または全部置き換わっていることが必要であり,これを標識化合物といいます。

今日はこの標識化合物について書きたいと思います。

○標識化合物の純度
 クロマトグラフィー逆希釈法(同位体希釈法のひとつ)を利用します。 
 試験でも時々出題されていますので、覚えておいてください。

平成18年度化学問24
平成20年度化学問24


○標識化合物の命名法
特定標識化合物
 :特定の位置の原子だけが標識される 
 [1-14C]チミン、[6-3H]ウラシルのように標識位置を明記

○名目標識化合物
 :特定の位置の大部分が標識されているが、その他の位置の原子も標識され分布比が明確でない
 [9,10-3H(N)]オレイン酸のようにN-(nominal)を付ける
 
○均一標識化合物
 :全ての位置の原子が均一に標識されている
 [U-14C]ロイシンのようにU-(uniform)を付ける

○全般標識化合物
 :全ての位置の原子が全般的に標識されているが、分布が均一ではなく分布比も明確でない
 [G-14C]メチオニンのようにG-(general)を付ける


平成17年度化学問25
平成18年度化学問24


○標識化合物の保管方法
 ①比放射能を低くする
 ②放射能の濃度を低くする
 ③少量ずつ分けて保管する(放射線による相互の影響を避けるため)
 ④強いエネルギーのβ放出体やγ放出体などとは一緒に置かない
 ⑤有機溶液はラジカルスカベンジャー(ベンゼン、エタノール、ベンジルアルコール)を加え加水分解を防ぐ
 (ラジカルスカベンジャーは遊離基、遊離原子を捕らえて反応を抑制)
 

 標識有機化合物に関しては
 ①純粋な状態で保管する
 ②低温で保管する

 水溶液(トリチウム3H化合物)は2℃くらい(凍結は分解が促進されるからNG、液体N2温度(-196℃ほど低温)ならOK)
 ベンゼン溶液は8℃(5~10℃)くらい
 3H, 14C, 35Sなどの低エネルギーβ線放出体は自己分解性があるから注意

平成17年度化学問26
平成20年度化学問24




反跳エネルギー

一昨日、ホットアトムの反跳エネルギーEγ[eV]について少し記述しました。

反跳原子の質量数をM、γ線のエネルギーをE[MeV]とすると、ホットアトムの反跳エネルギーEγ[eV]は、

 

この式は、以下のように考えると覚えやすいかもしれません。

運動量Pは、

 

また、エネルギーEは、

    

これらの式は、放射線概論の初め「1.予備知識」に記載されています。
このブログの最初の頃に、「1.予備知識」の章は分からなくてもいいのでさらっと流しましょうと書いた記憶がありますが、上式は覚えていた方がいいと思います。

よって、運動量mvは、

 

よって、生成核種の運動エネルギー(反跳エネルギー)Eγは、

 

炭素の12Cの質量を原子質量単位uを用いて12uと表します。
以前このブログでも書きました
 → http://radioisotope1.blog.fc2.com/blog-entry-47.html

すなわち、炭素12Cの質量の1/12が1uになります。

エネルギーに換算すると、1原子質量単位(1u)の静止エネルギーは、

 

なので、

質量数がMの原子の静止エネルギーは、

 

となります。

よって、

 


    

単位を[MeV]から[eV]に直すと、

 

になります。

このことを覚えておくと、平成19年度の物理問11が解けると思います。

同位体の情報

昨日リチウムについて記述しました.
放射線取扱主任者の試験勉強をしていると、その元素が安定同位体なのか放射性同位体なのかについて調べなくてはいけないことがよくあります。

元素別の安定同位体、放射性同位体はウィキペディアの「核種の一覧」に記載されています。

核種の一覧

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A0%B8%E7%A8%AE%E3%81%AE%E4%B8%80%E8%A6%A7

昨日書いた「Liの同位体」とウィキペディアで調べてみるとページの一番下に周期表がありますので、そこからも調べたい元素の同位体について調べられます。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%81%E3%82%A6%E3%83%A0%E3%81%AE%E5%90%8C%E4%BD%8D%E4%BD%93

放射線取扱主任者の試験勉強に役立つかと思います。


リチウム Li

 

上に記載したリチウム、6Li,7Liはともに放射性同位体ではありません。
安定同位体です。

リチウムに関しては、7つほどの放射性同位体があるようですが、放射線取扱主任者試験では、むしろ上記の2つの安定同位体について覚えておいてください。

それぞれの存在度は、
6Li:7.5% 
7Li:92.5%

フッ化リチウムLiFでは、6LiFは熱中性子に感度がありますが、7LiFは感度がありません。
これらを組合せて用いることでLiFは熱中性子測定に用いられます。

6Liと中性子の核反応は、ホットアトムのところでも書きましたが、以下の核反応になります。

 

この核反応の断面積は940barn(バーン)です。 ←覚えておいてください

ちなみに、10Bと熱中性子との核反応の断面積は3800バーンです。

 

この核反応には7Liが出てきましたね。是非この核反応も覚えておいてください。


 



ホットアトム 2

昨日のホットアトムの続きです。

ホットアトムに関連する核反応式に以下のようなものがあります。

 

 

 

 

 

 


また、ホットアトムは標識化合物の合成に用いられることも是非覚えておきたいことです。
反跳合成法といいます。

反跳合成法は、核反応によって生成する大きな反跳エネルギーをもつホットアトムを利用して標識する方法です。

反跳合成法の長所としては、
 ①複雑な化合物が簡単に標識できる
 ②短寿命の放射性核種の標識ができる
 ③比放射能の高いものが得られる

一方、短所は、
 ①放射化学収率が低い
 ②標識位置が一定しない
 ③化学反応性に富む反跳原子のため、副反応生成物に伴い分離が困難

などが挙げれれます。

Li2CO3や3Heと中性子との核反応を利用することで、有機化合物をトリチウム(3H)で標識することができます。これは、以下の核反応を利用しています。

 

 

このことは放射線取扱主任者試験でよく出題されています。

平成18年度化学問25
平成20年度化学問24
平成21年度化学問25
平成22年度化学問27

標識化合物に関しては、また後日書きたいと思います。



  

ホットアトム

一昨日、α壊変する際の生成核種の反跳エネルギーについて記載しました。

今日は関連事項として、(n,γ)反応におけるγ線放出時の反跳エネルギーについて書きたいと思います。
放射線概論ではP.204「8.ホットアトム」の章に記載されています。

インターネットでホットアトムを調べて見ると、以下のように記載されています。

「核反応や放射線エネルギーの吸収過程で生成する原子で,反跳による運動エネルギーの獲得や異常な電子状態などのため系の平衡熱エネルギーより大きな運動エネルギーや内部エネルギーを有するものをホットアトムと呼ぶ。一般にホットアトムは過剰に有するエネルギーのため反応性に富み,熱平衡状態にある同じ原子では起こしえないような特異な反応を誘起する。
ホットアトムとその反応性を研究する化学の分野をホットアトム化学と呼んでいる。」

ここに書かれていますように、
ホットアトムは過剰なエネルギーにより反応性が高く,通常では起こりえないような特異な反応が起こります。

ホットアトムに関する過去問題は、

平成17年度化学問28
平成17年度物化生問1Ⅰ
平成21年度化学問25
平成22年度化学問27
平成24年度化学問27


○ホットアトムで是非覚えたいこと

①ヨウ化エチル(C2H5-I)の中性子照射からの128Iの合成

中性子照射して生成したヨウ化エチル(C2H5-I)を分液漏斗に入れ水と振り混ぜると、安定ヨウ素127Iが128Iになるときに放出するγ線の反跳エネルギーによって、ヨウ素はC-I結合を切断し、水相に移行する。 
 → 127I(n,γ)128I反応によるγ線の反跳エネルギーによるC-I結合の切断
(放射線概論P.204)

②クロム酸カリウムK2CrO4の中性子照射からの51Cr(Ⅲ)+の合成

50Cr(n,γ)51Cr反応によるγ線の反跳エネルギーにより、
K2CrO4のCr(Ⅵ)が51Cr(Ⅲ)+になる。
 また、
K2CrO4の41Kも中性子照射で41(n,γ)42Kにより半減期12時間の42Kが生成する。

カリウム(40K,42K) 
 → http://radioisotope1.blog.fc2.com/blog-entry-54.html

K2CrO4ではCrO42-は2価の陰イオンであるため陰イオン交換樹脂に吸着するが、中性子照射で生成した51Cr(Ⅲ)+や42K+は陽イオンであるため陰イオン交換樹脂には吸着せず溶出液として流れる。
(放射線概論P.179,P.209問3,4)

③ヘキサアンミンコバルト塩酸塩[Co(NH3)6]Cl3の中性子照射

ヘキサアンミンコバルト塩酸塩[Co(NH3)6]Cl3に原子炉で中性子を照射すると、核反応でコバルト60Coが生成する際のγ線の反跳エネルギー(ホットアトム効果)により結合が切れたコバルトイオン60Co+が水溶液中に存在する。
(放射線概論P.207)

④ホットアトムの反跳エネルギーEγ[eV]

反跳原子の質量数をM、γ線のエネルギーをE[MeV]とすると、
ホットアトムの反跳エネルギーEγ[eV]は、

 

で与えられます。

この式に関しては出題頻度が高いわけではないですが、平成17年度の物化生の問1Ⅰで出題されています。また、この式そのものではありませんが、γ線放出時の原子が受ける反跳縁ルギーの計算問題として平成19年度物理問11に関連問題が出題されています。

鉄 Fe についての補足

昨日、重要核種で鉄(Fe)について書きました。
鉄Feに関係して、物理学でよく出題される核子や結合エネルギーについて今日は少し補足します。

結合エネルギーを知るためには原子核の構造について知っておくことが大切です。

原子核内はプラスの電荷を帯びた陽子電気的に中性な中性子が存在しており原子核全体としてはプラスになっています。
原子核内の陽子と陽子の間にはクーロン力が働いており、原子核内にはそのクーロン力よりも強い核力が働いているため陽子同士は同じ原子核内に存在できるのです。

原子核を構成する核子は陽子と中性子であす。
電子は原子核の外側の軌道に存在しているため核子ではありません。

原子核の質量は、構成している中性子の質量と陽子の質量の和よりも質量欠損分だけ小さくなります。
質量欠損をエネルギーに換算したものが結合エネルギーです。
原子核の質量は、構成核子の質量の総和(中性子の質量と陽子の質量の和)よりも結合エネルギー分だけ小さくなるのです。

結合エネルギーを核子数(質量数)で除した核子1個当たりの結合エネルギーを平均結合エネルギーと言います。
平均結合エネルギーは質量数(核子数)がおよそ60のFe付近までは質量数(核子数)とともに上昇し、その最大値はおよそ8.8MeVであり、その後は減少します。

すなわち、核子当たりの平均結合エネルギーは質量数が60付近(Fe)で8.8MeVで最大となります。
また質量数=4のHeでも極大(およそ7MeV)をとります。
(α線は特異なんです)

平均結合エネルギーの質量依存性は以下の図のようになります。
この図は、放射線概論P.39にも記載されています。

結合エネルギー


以下のことは是非覚えておいてください。

核子当たりの平均結合エネルギーは質量数が60付近(Fe)で8.8MeVで最大となる
核子当たりの平均結合エネルギーは質量数=4のHeでも極大(およそ7MeV)をとる。



核子、結合エネルギーなどに関する過去の問題

平成17年度物理問6
平成18年度物理問5
平成19年度物理問5
平成20年度物理問6(計算)
平成21年度物理問7
平成22年度物理問4
平成24年度物理問3


鉄 Fe

  

鉄Feでは、
54Fe,55Fe,56Fe,57Fe,58Fe,59Fe などの同位体があります。

この中で、
放射性同位体:55Fe,59Fe
安定同位体:54Fe,56Fe,57Fe,58Fe


55Fe:半減期2.7年 EC100% Mnの特性X線5.9keVを放出 蛍光X線源として利用 β線,γ線放出しない

59Fe:半減期45日 β-壊変 β線0.273keV,0.465keV γ線1.1MeV,1.29MeV 



少なくとも以下のことは覚えておいて欲しいと思います。

・放射性同位体は55Fe,59Fe
・55Fe:半減期2.7年 EC100% Mnの特性X線5.9keVを放出 蛍光X線源として利用
・59Fe:半減期45日 β-壊変 γ線放出する



α線放出に伴う反跳エネルギー

放射線取扱主任者試験の物理において、比較的よく出題される計算問題に「α壊変時に生成する核種の反跳エネルギーを求める問題」があります。

平成17年度物理問11
平成20年度物理問12
平成22年度化学問28
平成24年度物理問11

放射線概論では「4.放射性壊変」の章のP.45-47に記載されています。

例えば、226Raのα壊変は以下の反応式で表されます。

 

このα壊変に伴って放出されるエネルギーEをα壊変のQ値と言い、質量欠損ΔMから求められます。

すなわち、

 

このエネルギーEがα粒子と生成核種222Rnに分配されます。
生成核種222Rnのエネルギーは、α線放出に伴う生成核の反跳エネルギーと言います。

運動量保存の法則とエネルギー保存の法則から解くことことができます。
すなわち、

 

 

α粒子はHeの原子核であるから質量数は4です。222Rnの質量数は222です。
すなわち、当たり前ですが軽いα粒子のエネルギーが大きく、重いRnのエネルギーが小さくなります。


文字ばかりの式で書くと難しく感じられますので、実際の練習問題で見てみますと、

放射線概論P.56の問3では、
質量数200の原子核がα壊変しているので生成核の質量数は196になります。

反応式は以下のように書けます。

 

上述したことから、α粒子のエネルギーは

 

よって、α壊変に伴って放出されるエネルギーEは、

 

よって、生成核Yの反跳エネルギーは、

 

 

放射線取扱主任者の過去の問題では、この例題のようにα線のエネルギーが与えられていて、生成核の反跳エネルギーを求める問題が多いようですね。


放射性核種利用機器 その3

昨日、一昨日と放射性核種利用機器について書いてきました。
今日もその続きを少し書きたいと思います。


○静電気除去装置
 摩擦などで生じた静電気はα粒子やβ粒子を照射して得た電離空気と接触すると消滅する。放射線源として、α線としては210Po,226Ra、またβ線としては90Sr,85Krが使用される。電離で生じたイオンが静電気を中和することに基づいている。

 重要核種で紹介した210Poにも書きましたのでご覧下さい。
 → http://radioisotope1.blog.fc2.com/blog-entry-64.html


○メスバウアー分光法  、
 メスバウアー効果とは、固体の状態の原子によるγ線の共鳴吸収現象のことである。線源としては、57Co/57Fe, 119mSn/119Snがよく利用される。



 放射性核種利用機器ではありませんが、放射性核種を利用した画像分析で放射線主任者試験の生物でよく出題されるオートラジオグラフィーについても少し触れたいと思います。

○オートラジオグラフィー
 分布している放射性物質から放出されるβ線やγ線から画像(オートラジオグラフ)を作成する手法である。
 α線やβ線などの荷電粒子には、写真乳剤を感光・黒化させる作用がある。また、X線やγ線などの電磁波も二次電子を放出することにより同様の働きをもつ。この作用を利用して、試料表面に乳剤乾板を密着させて露出を行い、試料中に存在する放射性同位体の位置や量を記録し決定する方法をオートラジオグラフィーと呼ぶ。
 検出感度がきわめて高いこと、位置決定の精度がよいことなどが特徴である。

①超ミクロオートラジオグラフィー(電子顕微鏡レベル):
・トリチウム(3H)の18.6keVのβ線
・125Iのオージェ電子

②ミクロオートラジオグラフィー(光学顕微鏡レベル):
・トリチウム(3H)の18.6keV
・14Cの156keV
・35Sの167keV
 などの低エネルギーβ線放出核種

③マクロオートラジオグラフィー(肉眼レベル):
・14Cの156keV
・35Sの167keV
・32Pの1.71MeV
 などβ線放出核種
(放射線概論P.320)


平成17年度生物問3
平成18年度生物問1
平成20年度生物問16
平成22年度生物問2


加えて、塩基配列の決定ではDNAシーケンシングがあり、 32Pの1.71MeVを含むα-32P[dCTP] が用いられる。
(放射線概論P.320)
33Pの250keVも低エネルギーβ線放出核種であり解像度が良いため利用される。

平成21年度生物問2


放射性核種利用機器 その2

昨日に引き続き、放射性核種利用機器について書きたいと思います。
昨日放射線利用機器に関する過去問題について触れましたが、

・厚さ計
・ガスクロ検出器ECD
・硫黄計
・水分計
・蛍光X線分析装置
・非破壊検査装置
・静電気除去装置
・メスバウアー分光装置
・煙感知器


などが出題されていますね。

特に、
厚さ計、ガスクロ検出器ECD、硫黄計、水分計、蛍光X線分析装置
は出題頻度が高い機器と言えるのではないでしょうか。

昨日、厚さ計ガスクロ検出器ECD硫黄計について記述しましたので、今日は、水分計、蛍光X線分析装置について記述します。


○水分計:
252Cf速中性子の水素原子核との散乱を利用している。
252Cfに関しては、以前重要核種として紹介しています。

http://radioisotope1.blog.fc2.com/blog-entry-50.html



○蛍光X線分析装置:
 X線やγ線による光電効果で内殻軌道の電子をたたき出すと、内殻イオン化された元素の特性X線が発生し蛍光X線スペクトルが得られる。
 
 蛍光X線源としては以下のものがある。
 
 55Fe:EC壊変 半減期2.7年 特性X線 MnKα5.9keV
 109Cd:EC壊変 半減期463日 特性X線 AgKα22.2keV 
 57Co:EC壊変 半減期272日 γ線 122keV,136keV 
 241Am:α壊変 半減期432日 γ線 59.5keV
 

放射性核種利用機器

昨日、ポロニウム(210Po)について、静電気除去装置に利用されることを書きました。

放射性核種は、いろいろな産業分野の機器や用途に利用されています。
今日は、放射線取扱主任者試験によく出題される産業用機器に利用される核種で、是非覚えておきたいものについて書きたいと思います。

平成18年度化学問29(厚さ計、ガスクロ検出器ECD、硫黄計、水分計)
平成20年度化学問28(ガスクロ検出器ECD、厚さ計、蛍光X線分析装置)
平成21年度化学問28(非破壊検査装置、硫黄計、ガスクロ検出器ECD、水分計)
平成22年度化学問25(厚さ計、非破壊検査装置、静電気除去装置、水分計)
平成23年度化学問27(メスバウアー分光装置、ガスクロ検出器ECD、蛍光X線分析装置、水分計)
平成24年度化学問27(厚さ計、ガスクロ検出器ECD、煙感知器、水分計)


○厚さ計:
 吸収や散乱を利用している

α線厚さ計:タバコの巻紙
β線厚さ計:セロファン、塗装膜、めっき厚
γ線厚さ計:鉄板、ガラス、プラスチック

147Pm半減期2.6年のβ-壊変で224keVのβ線のみ放出するため、厚さ計に利用
192Irβ-壊変であるが、0.3MeV付近のγ線を多く放出するため、γ線を利用した非破壊検査装置に利用

覚えておきたいβ線のエネルギー順位
14C(156keV) <147Pm(224keV) <85Kr(687keV) <204Tl(764keV) 
                 <90Sr(90Y)(2.28MeV) <106Ru(106Rh)(3.64MeV)
シー ピーエム くったり す るん


覚えておきたいγ線のエネルギー順位
241Am(59.5keV) <57Co(122,136keV) <137Cs(662keV)
                <54Mn(835keV) <60Co(1.173,1.333MeV)
アメリカ コックスマン コ

○ガスクロマトグラフィーのECD検出器(電子捕獲型検出器):
 63Niのβ線の電離作用が利用されている。
 これは、キャリアガスであるN2ガスのみである場合は電離電流が流れているが、電子親和力の高い元素を含んだ化合物が存在すると電子が電子親和力の高い化合物に捕獲されてイオン電流が低下することを利用している。

○硫黄計:
 241Amの59.5keVのγ線の吸収が利用されている。
 (241Amのα線は煙探知器に利用されている)
 241Amは透過型
 55Feも硫黄計に利用される(励起型)





ポロニウム(210Po)



ポロニウム
原子番号84で16族に属する

210Poについて暗記しておきたい事項は、

・半減期138日
・ウラン系列に属する
・α壊変して206Pb(安定)になる  
 

 

・Ra-DEF線源:

 

・静電気除去装置に利用
 α線源として210Po,226Ra 、β線源として90Sr,204Tl が使用される
 電離で生じたイオンが静電気を中和する。


平成19年度化学問14
平成22年度化学問7,問25
平成23年度化学問19
平成23年度化学問17

平成19年度管理測定技術問1Ⅱ
表面汚染に関する問題で、14Cのような低エネルギーβ線放出核種Poのようなα線放出核種線源効率が0.25を用いることを問うた問題です。
(放射線概論管理技術P.504)


元素に関する試験に良く出る重要事項として以下のことも重要です

原子番号84番のポロニウム(Po)以上の元素は全て放射線同位体のみで、安定同位体はありません。
アクチノイド元素は全て放射性同位体のみになります。
テクネチウムTc、プロメチウムPmも放射性同位体のみで安定同位体はが存在しません。


平成18年度化学問1
平成19年度化学問4

ブログをご覧頂いている皆様へ

-感謝の意を込めてー

ブログを始めて1か月半ほど経ちましたが、最近ではブログをご覧いただける方もだんだんと増えて非常に感謝するとともに、私にとっての励みにもなります。

これからも、皆さんの勉強の役に少しでも立てるようなブログにしたく思っております。

本ブログは、第一種放射線取扱主任者試験の合格を目指す方にとって、合格のための試験勉強に直接役に立つ情報を提供していくことを目的としています。
受験する方にとっての「予備校のようなブログ」になればと、できるだけ余談は少なめにしています。
予備校では受験のテクニックなども教えるかと思いますので、このブログでも私が試験勉強を通して感じた合格のためのテクニックのようなことも少しずつ書いていけたらと思っています。

今まで書いたブログを読み返してみて、皆さんの勉強に本当に役に立っているのかと不安に思ってもいますが、自分が試験勉強をした中で、覚えたことを中心にまとめているつもりです。
ただ、私のブログは「試験の出題頻度の高い重要分野のまとめ」であって、ブログを読んだだけで合格できるものではありません。

将来的な目標としては、私のブログを読めば合格できるといわれるような「放射線取扱主任者合格のための予備校」を目指していますが…

試験合格を目指す皆さんの勉強法の基本は「放射線概論」と「過去問題集」だと私は思っています。

放射線概論を読み、過去問題を解きながら、私のブログをご覧いただくことで、

・試験によく出る出題頻度の高い分野
・是非覚えておきたいこと

などの要点を抑えることができ、少しでも皆さんの勉強の助けになればと思っています。

資格取得を志している方が、私のブログにお越しいただくことで、毎日
「試験に出る核種ひとつでも…」
「暗記したいエネルギーひとつでも…」
覚えてもらえたらと思っています。

合格のための情報を毎日皆さんに提供できるように更新を頑張っていますので、これからもよろしくお願いいたします。

ふー

天然放射性核種

昨日、ウランについて記述しましたが、今日は関連事項として天然放射性核種について触れたいと思います。
天然放射性核種は放射線概論には第3章(P.144)から記載してあります。

天然放射性核種に関する問題は、

平成18年度化学問14(129I)、問17(トリウム系列)
平成20年度化学問17(ウラン系列)
平成23年度化学問19(ウラン系列)
平成17年度管理測定技術問6Ⅰ
平成21年度管理測定技術問5Ⅱ,Ⅲ


天然放射性核種は、

①壊変系列をつくる放射性核種
②壊変系列をつくらない放射性核種
③宇宙線との核反応で生成する放射性核種(天然誘導放射性核種)


があります。

①壊変系列をつくる放射性核種

トリウム系列(4n)      : 232Th(140億年)  → 208Pb  α壊変6回 β壊変4回
ネプツニウム系列(4n+1)  : 237Np(214万年)  → 209Bi  α壊変7回 β壊変4回
ウラン系列(4n+2)      : 238U(45億年)    → 206Pb  α壊変8回 β壊変6回
アクチニウム系列(4n+3)  : 235U(7億年)    → 207Pb  α壊変7回 β壊変4回

237Np系列は半減期が214万年と短いため、46億年を経た現在では天然の237Np系列は存在しません。
消滅天然放射性核種です。

26Al(72万年)、129I(1600万年)も地球誕生時には存在していたが、半減期が短いため、現在は存在しない消滅天然放射性核種です。

壊変の最終元素は、237NpはビスマスBiであり、それ以外の232Th、238U、235Uは鉛Pbとなります。




②壊変系列をつくらない放射性核種

40K 87Rb 115In 138La 144Nd 147Sm 176Lu 180W 187Re 190Pt 210mBi
カ  ルビ  いん  らん  ヌード  サ ル  う れ  ぴ  ビ

この中で、144Nd、147Sm、190Ptはα壊変します。





③宇宙線との核反応で生成する放射性核種(天然誘導放射性核種)

3H 7Be 10Be 14C 22Na 32Si 32P 33P 35S 36Cl
えっちなベイブ く な  し りん P  S くれー

ウラン235の核分裂

ウランは放射線取扱主任者試験でよく出題される元素であり、またウランの核分裂反応も出題頻度の高い分野でもあります。

平成17年度化学問13
平成18年度化学問16
平成20年度化学問17
平成21年度化学問16
平成22年度化学問7,11
平成23年度化学問11,19


天然放射性核種であるUについて、以下のことは是非覚えましょう。

○ウラン238(238U):ウラン系列
 99.275% 半減期45億年
 238U(45億年) → 206Pb(安定)  α壊変8回 β壊変6回

○ウラン235(235U):アクチニウム系列 
 0.72%  半減期7億年
 235U(7億年)  → 207Pb(安定)  α壊変7回 β壊変4回


235Uは熱中性子により核分裂するため中性子の検出に利用できます。
核分裂反応は(n, f)で表します。



235Uの核分裂反応に関しては、、
235Uは熱中性子により質量数が90~100と130~140の元素が生成されやすくなります。
という問題がよく出題されます。
(放射線概論P70参照)

235Uはの熱中性子による核分裂反応の収率曲線は下図のようになります。
(放射線概論P.70にも載っています)

235U.jpg

質量数で90-100と135-140付近に収率の極大のピークが見られ、その収率はおよそ7%になります。

235Uから熱中性子によって、90Sr,99Mo,131I,137Csなどが多く生成することになります。

また、235U1個の核分裂よって、生ずるエネルギーはおよそ200MeVであるということも覚えておきましょう。


一方、
238Uは熱中性子によっては核分裂せず、速中性子によって核分裂します。  



トレーサー

先日、アクチバブルトレーサーについて書きましたので、今日はトレーサーそのものについて少し記述いたします。

トレーサーをインターネットで調べてみると以下のように書いてありました。

○トレーサー 
 ある現象や過程で、対象とする物質の挙動を追跡する目的で加える物質をトレーサーといいます。トレーサーは追跡しようとする対象物質とまったく同じ挙動をすること、また追跡の過程で検出が容易であることが必要です。
 このため放射性同位体が利用されることが多く、放射性トレーサーといわれています。
 大量の放射性トレーサー使用を必要とする場合には、放射線障害防止のため実験が困難となり危険も伴うので,安定同位体をトレーサーとして使用し、実験中にトレーサーを含む試料を採取した後にこれを放射化してトレーサー量を決定する場合があります。これをアクチバブル・トレーサーと呼びます。

 トレーサーとして用いる放射性物質は、同位体交換反応速度が実験中に無視できるほど小さいことが必要です。
 
 同位体は原子番号が等しいから化学的性質は互いに等しいはずであるが、質量数の違いから物理的、化学的性質に差異が認められることがあります。この現象を同位体効果といいます。

 水素では、質量数が1の水素と2の重水素、そして3のトリチウムがあります。 
 これらの同位体の間では質量数が大きく異なるため同位体効果も大きくなります。同位体効果は分子間の反応速度や化学平衡にも影響を及ぼします。
 同位体効果は原子番号が6以上の炭素よりも重い元素を使用していれば無視できます。

○同位体交換反応の例
・ヨウ化エチル(CH3-CH2-I)のヨウ素イオン(I-)
・Fe2+とFe3+の共存する溶液 
・炭酸バリウム(BaCO3)と二酸化炭素(CO2)の炭素間

 ナフタレンやベンゼンなどの有機物中のC-H結合は切れにくいため同位体交換は起こりません。 
 エタノールも有機溶液であり、C-H結合は切れにくいため同位体交換は起こりません。

 平成17年度化学問17
 平成18年度化学問24
 平成22年度化学問21

 いろいろな酸化状態を持つ元素はトレーサーの酸化状態と追跡される非放射性同位体の酸化状態に注意しなくてはなりません。 
 トレーサーと追跡されるものとが異なる酸化状態にあるときには両者の酸化状態をそろえるために適切な酸化剤還元剤を加えます。

更新が・・・

この週末仕事を自宅に持ち帰りまして、ブログの更新ができずにいます。

今夜は少しでも更新できるように、今仕事を片付けています。
申し訳ございません・・・

アクチバブルトレーサー

化学の問題では、それほど頻度は高くないですが、アクチバブルトレーサーに関する問題も時々出題されています。

平成17年度化学問27
平成20年度化学問27
平成24年度化学問28


アクチバブルトレーサー 
 放射能が対象試料に影響を及ぼすおそれがあるとき環境や食品などの放射線汚染の可能性があるときに使用します。
 安定同位体をトレーサーに用いて、これを放射化分析で定量します。

○特徴
・アクチバブルトレーサーは安定同位体であるため、環境汚染は生じない。

・アクチバブルトレーサーに使用する元素としては、
  139La、 55Mn、 79Br、 151Eu
 などがあります。

 ① 自然界の存在量が少ない元素がいい
 ② 放射化断面積が大きい元素がいい
 ③ 生成核種の半減期が短い方がいい


魚類の回遊調査、地下水の活動調査などに利用された例があります。

競合過程

ここ数日、

・特性X線
・オージェ電子
・内部転換電子
・核異性体転移

について記載してきました。

今日は覚えておきたい競合過程について書きたいと思います。

覚えておきたい競合過程は、
 ①β+壊変とEC壊変
 ②オージェ電子と特性X線
 ③内部転換とγ線放出



①β+壊変とEC壊変
 β+壊変は、電子及び陽電子の静止エネルギーの和、すなわち

 

以上のときに起るため、壊変前後の中性原子の質量差では電子の2倍の質量以上で起こる。
 M(親)-M(娘)>2me
 
 壊変前後の中性原子の質量差が電子の2倍の質量以上ないときにはβ+壊変の競合過程である軌道電子捕獲(EC)壊変が起こる。

②オージェ電子と特性X線
 励起状態にある原子核は、不安定な状態になっているためエネルギーを放出して安定な状態である基底状態に戻りたい。放出されるエネルギーとして特性X線やオージェ電子がある。 
 軌道電子の空席当たりに放出される特性X線の割合を蛍光収率と定義される。
(蛍光収率の図は、放射線概論P.33図2.5)

③内部転換とγ線放出
 原子核が励起状態(不安定な状態)にあるときに光子であるγ線を放出して安定な基底状態に転移するか、または軌道電子を放出して安定な基底状態に転移することがある。
 この転移を内部転換といい、放出された軌道電子を内部転換電子という。


137Cs



セシウム
原子番号55でアルカリ金属に属する

137Csに関する過去問題は、

平成17年度物理問5
平成19年度物理問4
平成19年度物化生問2Ⅱ
平成21年度物理問5,10
平成22年度物化生問1Ⅲ
平成22年度管理測定技術問4Ⅰ
平成23年度物理問8
平成24年度物化生問2Ⅱ
平成24年度管理測定技術問2Ⅰ


137Csについて暗記しておきたい事項は、

・半減期30年
・β-壊変:514keVのβ線

 

 この壊変のため、137Csはβ-壊変ながら、γ線源(662keV)としてよく知られています。
 (137mBaの半減期は2.55分)

・137mBaの内部転換電子はβ線スペクトルの校正に使用される(重要)


平成21年度管理測定技術問1Ⅱ
平成22年度管理測定技術問4Ⅰ,Ⅱ

核異性体転移(IT)

今日は、核異性体転移(IT)について書きます。

○核異性体転移(IT)

原子核の励起状態(不安定な状態)が比較的安定ですぐには基底状態に転移しない場合があります。この状態からエネルギーの低い安定な基底状態に移る過程を核異性体転移(IT)といいます。

核異性体転移に関しては、137Csが放射線取扱主任者試験で最もよく出題されています。

 

この壊変のため、137Csはβ-壊変ながら、γ線源(662keV)としてよく知られています


過去に出題された例です。

平成17年度物理問5
平成19年度物理問4
平成19年度物化生問2Ⅱ
平成21年度物理問5,10
平成22年度物化生問1Ⅲ
平成22年度管理測定技術問4Ⅰ
平成23年度物理問8
平成24年度物化生問2Ⅱ

カリウム

 

カリウム
原子番号19でアルカリ金属に属する


平成18年度物化生問4Ⅰ
平成19年度物化生問3Ⅱ
平成21年度管理計測技術問3Ⅱ、問5Ⅲ
平成22年度物化生問3Ⅱ


40Kについて暗記しておきたい事項は、

・半減期12.8億年
・β-壊変:89% 1.312MeVのβ線
  

 EC壊変:11% 1.461MeVのγ線
 

1.461MeVのγ線はGe半導体検出器のバックグラウンドに208Tlの2.61MeVとならんで現れます


42Kは、
 クロム酸カリウムの中性子照射によって、51Cr(Ⅲ)の合成と一緒に生成されます
(ホットアトム)
(放射線概論P.209問4)

 

 半減期12.7時間の42Kが生成します。

内部転換電子

昨日は特性X線とオージェ電子について書きました。

今日は、特性X線、オージェ電子とならんで放射線取扱主任者試験ではよく出題されている内部転換電子について書きたいと思います。

平成18年度物理問3,8
平成19年度物理問3
平成20年度物理問1,3,4,
平成21年度物理問3,4,10
平成22年度物理問5,6,13
平成23年度物理問4,7,
平成24年度物理問4,5,7

○内部転換電子
 原子核が励起状態(不安定な状態)にあるときに光子であるγ線を放出して安定な基底状態に転移する代わりに、軌道電子を放出して安定な基底状態に転移することがあります。
 
 この転移を内部転換といい、放出された軌道電子を内部転換電子といいます。
 
内部転換電子は放出されるγ線のエネルギーよりも軌道電子の結合エネルギー分だけ小さくなる。
内部転換電子のエネルギーをEe,γ線のエネルギーをEγ,軌道電子の結合エネルギーをEbとすると、

 

結合エネルギーEbはK殻よりもL殻の方が小さいため、放出される内部転換電子のエネルギーはL殻から放出される場合の方が大きくなります。

○内部転換電子について覚えたいこと

・内部転換とγ線放出は競合過程である。
・内殻の電子が放出されやすい(K殻)
・内部転換は軌道電子が放出されるため特性X線またはオージェ電子放出が起こる。

γ線放出割合Pγに対する内部転換電子の放出割合Peを内部転換係数といいいます。
内部転換係数αは、
 
  

内部転換は原子番号Zのおよそ3乗に比例するため、内部転換は質量数が小さい原子核よりも大きい原子核で多くみられます。
・内部転換は軌道電子が放出して起こるため、軌道のエネルギー準位に依存します。そのため、内部転換電子は線スペクトルを示します。
・内部転換が起こっても、原子番号は変化しません。

上述したとおり、内部転換係数αは

 

γ線放出割合Pγと内部転換電子の放出割合Peの和は1になるので、

 


よって、γ線放出割合Pγは

 

となる。この式は重要で過去問題でも何度か出題されています。
平成19年度物化生問2Ⅱ
平成21年度物理問10
平成22年度物化生問1Ⅲ
平成24年度物化生問2Ⅱ


以前、光子(X線とγ線)についての定義を書きましたが、

X線:原子から放出される電磁波(軌道電子の遷移に伴って発生)
γ線:原子核から放出される電磁波(原子核のエネルギー準位の遷移に伴って発生)


内部転換電子の競合過程であるγ線は原子核の励起状態から放出されるものです。


 

アメリシウム(241Am)



アメリシウム
原子番号95でアクチノイド元素に属する

241Amについて暗記しておきたい事項は、
・半減期432年
・アメリシウムはα線放出源であり、煙探知器に利用される
・中性子源:
 
 
 
 
 241Amから放出されるα線と9Beの核反応により中性子を生成する。
 
 

 γ線も発生するため、γ線の遮へいが必要である

・241Amから放出される59.5keVのγ線:厚さ計、密度計、硫黄計、XRFのγ線源
 硫黄計は低エネルギーが利用される
  透過型:アメリシウムの59.5keVのγ線
  励起型:55Feから放出されるMnの特性X線(5.9keV)
・241Am, 210Po, 226Raのα線、90Sr, 85Krのβ線は静電気除去装置に使用される
・γ線は対外計測法で使用される肺モニターに使用される。
 239PuからL殻電子の放出に伴って発生する13-20keVの特性X線、241Amから放出される59.5keVのγ線が使用される


 ラジウムのα線も同様に中性子源として利用される
  226Ra-9Be中性子源:9Be + 42He(α) →126C + 10n(4MeV) +γ(γ線の遮へい必要)
 
 

特性X線とオージェ電子

昨日、線スペクトルと連続スペクトルに関して書きました。
線スペクトルの中には特性X線やオージェ電子があります。

特性X線、オージェ電子は、電子軌道のエネルギー準位差に伴って発生するため、そのエネルギーは線スペクトルとなります。

特性X線、オージェ電子に関する出題頻度は非常に高く、毎年必ず物理の試験に出題されています。

平成17年度物理問3,7
平成18年度物理問3
平成19年度物理問3
平成20年度物理問3,4
平成21年度物理問4,9
平成22年度物理問6
平成23年度物理問4,7
平成24年度物理問5,7

○特性X線
 軌道電子がエネルギーを得て軌道外に放出された状態(励起状態)にある原子では、光子(γ線、X線)を放出して基底状態に戻る。
 光子のうちX線を放出する場合、その光子を特性X線という。
 
○オージェ電子
 励起状態の原子が特性X線を放出せずに外側の軌道電子を放出して基底状態に戻る過程をオージェ効果といい、放出される電子をオージェ電子という。

○特性X線、オージェ電子のエネルギー
 K軌道電子の空孔が生じ、L軌道電子が遷移した場合の放出される特性X線のエネルギーは、
 

また、放出されるオージェ電子のエネルギーは、
 

(放射線概論P.34 問3 P.36 問6)


○蛍光収率
 励起状態にある原子核は、不安定な状態になっているためエネルギーを放出して安定な状態である基底状態に戻りたい。放出されるエネルギーとして特性X線オージェ電子がある。
 軌道電子の空席当たりに放出される特性X線の割合を蛍光収率と定義されます。
 
特性X線とオージェ電子は競合過程(どちらかが必ず起こる)である。
 原子番号がZ=32(Ge:ゲルマニウム)まではオージェ電子が起こりやすく、それ以上の原子番号では特性X線が起こりやすくなります。
 すなわち、原子番号が大きくなるほど特性X線が放出される割合が高くなります。

蛍光収率の図は、放射線概論P.33図2.5にあります。

オージェ電子放出または特性X線放出が起こりうるもの
・光電効果
・内部転換
・軌道電子捕獲(EC)
・コンプトン効果


カリフォルニウム(252Cf)



カリフォルニウム
原子番号98でアクチノイド元素に属する

252Cfについて暗記しておきたい事項は、
・半減期2.645年
・α壊変96.9% 自発核分裂(SF)3.1% 1個のSFによりおよそ3.8個の中性子を出す
・中性子のエネルギーの平均値は約1MeVであり、平均2-3MeV
・中性子水分計、中性子ラジオグラフィ線源など


252Cfの壊変定数λは、α壊変の壊変定数と自発核分裂(SF)の壊変定数を用いて以下の式で表される。

 

α壊変96.9%、自発核分裂(SF)3.1%なので、

   

よって、自発核分裂(SF)の壊変定数は252Cfの半減期と252Cfの自発核分裂(SF)の半減期を用いて、

  
 

よって、

 

 

と導ける。

すなわち、252Cfの自発核分裂(SF)の半減期は85年ということになる。
平成21年度物化生問4Ⅲ

一般的な重要事項として、
半減期Tの核種が、その分岐壊変する割合をX%とすると、その部分半減期は、

 

となる。
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